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スクランSS:the blank story of #145

唐突に書いてみたスクランSS。
というか、練習するにもまず書かないとダメだ。

#145を見てふと思いついたネタ。
#146の前に書き上げたかったけど無理でした


↓↓↓   ↓↓↓

「だぁぁぁっ!どうしろってんだッ!!」

二人の目の前にある張り紙。
それを見た播磨が10分にわたり、鍵が無いだ、小遣い500円って俺は小学生かだと一頻り騒いだ後。
ようやく落ち着いた播磨に向かって、八雲が声をかけた。

「えーと、とりあえず刑部先生に電話してみるというのは……」
「それだッ!」

八雲のアドバイスを受け、ビシッと指差し肯定の意を示す。あまりの反応の速さに、八雲はビクッと体を震わせたが、播磨はそれに気付かず、すぐさま携帯を取り出して数少ないアドレス帳から刑部絃子が持っているであろう携帯の番号にかけた。

待つ事数秒。
その時間すら惜しいとでも言うように、播磨は八雲に背を向けて足を踏み鳴らす。
その播磨の様子を見て八雲はそれ以上声をかける事もできず、播磨の背中をじっと見て待つ事にした。

「オイ、絃子っ!いきなり旅行ってどういう……あ?だから鍵持ってねーって俺。……いや、一週間で500円って何だよ?餓死するって!いやだから……オネガイシマス、ドウカハナシヲ」

幸い、電話は繋がったようである。
しかし播磨の焦り様を見るに、現状の打開策は全く見えてこないようだ。
何時頃出発したのかは知らないが、今から戻ってくるのは難しいだろう。八雲は、彼女らの交通手段も知らなかったし、大声で電話をする播磨の台詞からだけでは、絃子が何を言っているのかを全部見通す事は出来なかった。

播磨が尚も食い下がっているのを視界に捉えながら、八雲はもう一度戸に貼り付けられた手紙を読む。

(あれ?そういえば……)

何か腑に落ちない点がある。
八雲は張り紙をじっと見て、頭の中で整理をする。いや、手紙の内容には何も不審な点は無い。書かれている事以上は分からないし、気になるのは手紙の存在自体だ。
ここはマンション。家主として名が記載されているのは勿論刑部絃子だ。
絃子と播磨の関係がどうなっているのかは、八雲は細かい事は知らないが、同居しているという事実がある。
絃子が教師、播磨が生徒ならば、帰宅は播磨の方が早い事も多いだろうし、鍵を持っていないということはありえないだろう。
今日、播磨が鍵を持っていないのは偶然……なのだろうか?

(播磨さんが鍵を普段持っているのなら、家の中に手紙を置いておけばいいんじゃ……)

となると、普段から播磨は鍵を持っていないのであろうか?
八雲はそれ以上の事は分からず、結局諦めて、電話を続ける播磨の方に向き直った。

______

『今12月だってッ!絃子、てめぇそれでも教師か?』

勿論そんな事は分かっている。
サイドガラスから見える、代わり映えのしない高速道のライトを眺めながら絃子はため息をついた。
車に乗る時は大抵葉子に運転を任せるため、絃子はこうやって外を眺めながら、かかってきた播磨の電話の相手をしているというわけだ。

餓死するだの何だのと泣き言ばかり言うものだから、「何、ゴキブリのような君の体力なら1週間程度では死にはしないさ」と、非情な台詞を突きつけてあげたら、返答は教職に対する疑念だった。

「何を言う。もう冬休みに入っているし、今の私はプライベートだ」

暴論で黙らせる。そもそも、教師としてというより人間として残酷過ぎる台詞だった気もするが、播磨は論理のすり替えには気付かなかったようだ。

「大体、私は君が鍵を忘れた等とは知らなかったよ。鍵の管理くらいはしっかりしてくれないと困るな。失くした等という事になったら、責任は取ってもらうぞ」

電話口でグッという従弟の息を呑む音が聞こえる。

『家の中にあると思うんだけどよ……』
「それなら良いが。まさか街中で落としたなんて事になれば、鍵を変えなければいけないしとても手間がかかる。それに空き巣に入られるなんて考えたら、安心して旅行を楽しむこともできない」

うぅっという、従弟は声にならない唸り声をあげた。体力バカではあっても、こういった精神的なプレッシャーには弱いという事を、絃子はよく知っていた。

もう少し暇つぶしに苛めてやろうかと、嗜虐心に誘われる。
が、電話口から聞こえてきた声が、絃子にそうさせるのを止めた。

『播磨さん、大丈夫ですか?』

聞き覚えのある声。クラス担任の上に部活動の顧問をしていて、その上学校でも有名な生徒だ。間違えようもない。塚本八雲だ。
どうやら唸ると同時に蹲ったのか、様子のおかしい播磨を見かねて声をかけたらしい。かなり近寄っているようで、携帯電話はその声も拾っていた。

「待てケンジ君。塚本君と一緒にいるようだが。君は私のいない家で何をしようと……」

以前にも、家に連れ込んできた事のある娘だ。
あの時は突然の事態に頭が混乱して家を出てしまったが、自宅で変な事をされても困る。その変な事というのは、絃子はなるべく考えないようにしたが。

『あぁ、いや違う。別に妹さんには手伝ってもらってるだけで、ちょっと相談を』
「相談だと?君がそんなに手が早いとは思わなかったぞ、全く。君達は……」

結局自分でも何を言っているのか分からなくなる。
播磨が好きだと言っていたのは姉の塚本天満であり、妹の八雲ではない。将を射んと欲すれば先ず馬を射よとばかりに、八雲に近づいたのかとも思えるが、女性に対して弱く回りくどい事が本質的に苦手な播磨が、そこまで考えているとも思えなかった。
これはある意味播磨の事を信頼している証でもあったが、逆に、噂にある播磨と八雲の関係が本当なのだとすれば、絃子の播磨に対する人物感というものは間違っていた事になる。
それを認めるのは彼女にとって大変に癪なのであった。

トントン、と。
電話に夢中になっていたところを、隣から腕を叩かれて正気に戻る。

葉子だ。
気付けば車は停止していた。渋滞に巻き込まれたというわけではなく、サービスエリアの駐車場だ。
予定では途中で休憩する事は無かったので、葉子が勝手に寄ったらしい。
どうやら減速にも気付かずに、電話に集中していたようだ。

葉子がにこりと笑って、そのまま手を差し出す。
電話を代われということか。
絃子は、自分の頭を整理するためにも、葉子に電話を渡した。
葉子が話し始めたのを見届けて、絃子は車から降り、外の空気を一杯に吸った。

(そういえば、今日の旅行をケンジ君に言わないようにと言っていたのは葉子だったな)

空は全体に薄く雲がかかり、月も出ていない。
サービスエリアの煌々とした灯りが、絃子の視界に強く焼きついた。

_____

「拳児君、こんばんは」
『へっ?あぁ、ウィッス』

いきなり電話を代わったのに虚を突かれたのか、播磨が素っ頓狂な声を上げた。
それを葉子はクスリと笑いながら、まずは詫びの言葉を入れる。

「ゴメンね。急に旅行行っちゃって。お詫びにお土産持って帰るからね」
『いや、別に構わねッスけど』

播磨は葉子に対しては敬語になる。従姉の友人とはいえ性格的には正反対で、絃子があんな性格のために、播磨にとって最も身近な異性の対象が葉子だったのである。
そのため、女性―特におっとりとした性格の八雲や姉ヶ崎などへの播磨の対応は、葉子に対するものがベースとなっている。
勿論、葉子はそんな播磨をからかって遊んでいたわけだが。

「でも、泊まるところが無いのはこの時期大変よね。ねぇ、拳児君、あてはあるの?」

返答は『無し』。無論、葉子は分かりきっていてそんな質問をしている。これはあくまで前フリだ。
先の絃子の電話の応対をみて、現状は大体把握している。
播磨の現在位置が絃子のマンション、傍に塚本八雲がいること。『許容範囲内』だ。

「そう困ったわねー」

面白がっているなどとはおくびにも出さない。
学生時代、年下と付き合ったことを絃子にすら気付かれなかった程だ。単純明快な播磨には、どこまでが演技かなんて分かるはずもないだろう。

「塚本さんがいるのよね?ちょっと代わってくれないかしら?」

ああ分かった、と疑問を挟むこともなく播磨は電話を代わる。

『ハイ、お電話代わりました。……え?笹倉先生ですか?ハイ、塚本八雲ですけど』

播磨は名を告げずに電話を渡したようで、代わった八雲は相手が葉子だと分かって少し驚いていた。

「それでね、塚本さん。播磨君がこの1週間泊まるところが無くなってしまったのよ」

言外に「困ったわね」と付け加える。

『はぁ……』

何を言われるのか予想もつかない。いや、考えないようにしているのか。
それこそ、教師の言うべき事ではないわけだし。

「出来れば塚本さんに播磨君の面倒を見て欲しいかなって思うんだけれど。ダメかしら?二人は仲良いみたいだし、彼、他にあてが無いのよ」
『は?あの、でもそれは……』

生真面目な八雲でも、それがどういうことを示すかは判断がついた。困惑した答えが返ってくる。

「先生が言っちゃいけない事だとは分かってるけれど、プライベートな頼みとして聞いてくれないかしら?播磨君のためじゃなくて、拳児君のためだと思って」

呼び方を変える。プライベートなのだという事を強調するように。
塚本八雲という娘は優しい娘だ。それは、葉子の少ない授業時間で彼女と話をしただけでも分かる。
それに噂になるほど近しい相手ならば、彼女は自分でどうにかしようと思うだろう。

『分かりました』

一呼吸置いて、返事が返ってくる。
葉子は期待通りの返答に満足し、最後に礼を言ってから播磨に電話を代わるよう頼んだ。

さあ、後は可愛い弟分の背を押すだけだ。

______

『塚本さんにあてのありそうな所を頼んだから、拳児君はそこにお世話になりなさい』

今の短い会話の中でどういう事が話されたのか。八雲はほとんど相槌を打っていただけなので、播磨にはさっぱり見当もつかなかったが、そういう事になったらしい。

「って、何処なんだよ?」
『塚本さんの紹介なんだから、変な場所じゃないわよ。安心しなさい』
「チッ、あまり妹さんには迷惑かけたくないんだけどな」

八雲に散々迷惑をかけているという自覚は播磨にもあった。
かといって、絃子が帰ってくるまでの1週間、せめて暖を取れる場所が無いと死ねる。
元々は漫画を書く場所を確保しようと相談していたわけだが、今は生命優先だ。

『それじゃ、『頑張ってネ、拳児君』』
「あぁ」

微妙にアクセントがずれた葉子の台詞。しかし、播磨は気付かずに電話を切った。

「それじゃ妹さん、悪いな、頼む。」
「えっ!?あっ、ハイ!」

妙に慌てた八雲が、先導するようにマンションの外へ足を向ける。
振り返る時の八雲の顔に赤みがさしていた様に見えたが、播磨にはその理由はすぐには分からなかった。


道すがら、二人の話題は主に漫画のことだ。二人の関係を繋ぐ唯一と言ってもいいキーワードなのだから、当然である。もう一つあるにはあるが、播磨は話題に挙げる事はしなかった。

何せ、1週間で120Pを描かなければならない。八雲と漫画の話をしていく内に、播磨の頭の中は漫画の事で一杯になり、自分が何処を歩いているのか、八雲が何処を目指して歩いているのか、全く気に留めていなかった。

そのため、八雲が立ち止まった時には、『そこ』が目的地だとは気付かなかったのも仕方ない。

「あの、播磨さん?着きましたよ」

八雲が、そう促す。しかし、播磨は自分の目に映る見覚えのある邸宅を凝視したまま動くことができなかった。

「いやあの、ココハ……」
「……?」

どういうことだ、と播磨は自問する。
葉子はあくまで八雲が紹介するとしか言わなかったのに、それが何故塚本家に来ているんだ。
八雲の様子を見る限り、目的地が塚本家だったのは最初から決まっていたようだ。
それでも八雲に現実を質すしかなかった。

「あのよ、妹さん。もしかして俺が厄介になるのは……」
「勿論私の家ですけれど……もしかして笹倉先生から伺ってなかったんですか?……あの、やっぱりダメでしょうか?」

播磨が聞かされていないと気付いた八雲は、身を縮こませ頬を染めながら下を向いて最後に付け足した。

「あっ、いや、ダメっていうか。てん……お姉さんとか、な」

八雲のその態度に、ダメとはっきり言えるほど播磨は強くなかった。
ただでさえ、播磨は頼む側であるのだし。
しかしそれでも播磨にとっては、八雲の家に世話になるという事は、それはつまり。

「姉さんなら、説明すれば分かってくれると想います。播磨さんならきっと」

そんな播磨の心中を知ってか知らずか。いや、分かっていないのだろう。
八雲には天満の事を暴露してしまったが、八雲は恋愛感情にはかなり疎い。播磨にとって、好きな娘の家に泊まるという事がどれだけ緊張するものなのか。そこまでは測る事は出来ないようだ。

だが、ここで八雲の進言を断るわけにもいかない。
彼女は善意で申し出てくれているのだから。それを断るのは播磨の仁義に反していた。

「お、おぅ。それじゃ頼むぜ妹さん」

その台詞に安心した八雲は、顔を上げて微笑むと、どうぞと門をくぐった。
播磨はその後をぎこちなくついて行く。門をくぐる瞬間は、右手と右足が同時に前に出た。

(えぇい、こんな形で天満ちゃんの家に上がるとは。葉子さん、恨むぜ)

最後に、今頃播磨の状況を想像して笑っているであろう葉子に悪態をつき、大きく息を吸う。
「ただいま」という八雲の声に続いて、播磨は玄関に足を踏み入れた。


_____

「全く、一体どこから仕組んでいたんだか」

自販機で買った缶コーヒーに口をつけて、絃子がそうぼやく。

「どこからって、最初からですよ。絃子センパイ」
「旅行に行こうなんて言い出した今朝からか?昨日ウチに来た時には何も言っていなかったから、今日決めたことだろう?」

違います、と。
運転席に座る葉子は視線は前方に向けたまま、絃子の言葉を否定する。

「正確には、昨日『拳児君が鍵をテーブルの上に置いたままにした時から』ですよ」

それを聞いた絃子は呆れる以外になかった。

「若いっていいですよねぇ、センパイ」
「ケンジ君にそこまで構う君も、十分子供っぽいよ」
「あら、さすがに誤解を解くチャンスくらいはあげないと。親心ですよ、センパイ」
「暇人め」
「センパイと旅行も行けるし、一石二鳥じゃないですか」

1週間。
クリスマスを挟んで帰宅したら色々と劇的に変わっていそうで、旅行後の楽しみが増えた。
絃子宅での忘年会・新年会で根掘り葉掘り聞くとしよう。

教師二人は、哀れな弟分の未来に話を咲かせ、目的地までの残り短い時間を楽むことにした。


(終)
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  1. 2005/09/14(水) 21:05:25|
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